【読書・ビジネス書】鬼速PDCA 冨田和成 (著)
【読書・ビジネス書】なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である 中島聡 (著)
時間内に仕事が終わらない理由を指摘し、改善策として2割の時間に全力疾走で8割の仕事を終わらせる(ロケットスタート)+ 8割の時間で流しつつ質を高める(スラック=余裕、たるみ)という方法を提案している。
本書では「期限を守ること」を最重要に考えており、〆切直前のラストスパートの悪弊には枚挙に暇がない。さらには安請け合い、見積もりの甘さ、〆切直前の精神的圧迫感による生産性の低下など、学生視点でも頷ける事柄ばかりだ。
自分の体験と照らし合わせても納得の内容で、これまでの研究姿勢を振り返り、身につまされる思いで読みきった。
なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である
- 作者: 中島聡
- 出版社/メーカー: 文響社
- 発売日: 2016/06/08
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (5件) を見る
高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568) フィリップ・K・ディック (著)
amazon prime オリジナルドラマが面白かったので、原作を読んでみた。
舞台は第二次大戦で枢軸国側が勝利した世界。日独により分割されたかつての合衆国で、日本、ドイツ、イタリア、アメリカ、そしてユダヤにルーツを持つ人々の運命が交差する。
この並行世界において、連合国側が勝利した世界を描いた本が出回るという二重の構造が描かれている。
印象的だったのは日本人夫妻と白人古物商・チルダンの晩餐のシーン。慇懃に振る舞おうと努力しつつも人種の違いから生じるルサンチマンがにじみ出ている。映像作品でも同様のシーンがあり、非常に印象的だった。
この世界では、大きな選択に迫られたときは、社会的地位の高い者も低い者も「易経」にすがるのだが、神秘的を通り越してややコミカルでさえある。
- 作者: フィリップ・K・ディック,土井宏明(ポジトロン),浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1984/07/31
- メディア: 文庫
- 購入: 17人 クリック: 230回
- この商品を含むブログ (131件) を見る
命 (新潮文庫) 柳 美里 (著)
緋色の研究【新訳版】 (創元推理文庫) アーサー・コナン・ドイル (著), 深町 眞理子 (翻訳)
推理小説というジャンルを確立したとも言える古典作品で、「シャーロック・ホームズ」シリーズの第一作にあたるようだ。
ホームズの言行録は半分程度で、残り半分は解決編にあたる第二部に当てられている。第二部は一見すると冒険活劇のようなテイストで急展開に驚かされるが、やがて物語は犯人が凶行に及ぶに至った背景に収束しており、単なる怪奇殺人に止まらない犯人の心情に迫る緻密な背景描写がなされている。
ちなみに表題はホームズ曰く美術用語からの転用とのこと。
「人生という無色の綛(かせ)糸の中に殺人という緋色の糸が紛れ込んでいる...」のくだりを読んで、なんとなく一昔前のテレビドラマ「古畑任三郎」のオープニング映像を思い出した方も多いのではないだろうか。
解説は高山宏という豪華さも嬉しい。なお、解説の本文によると高山宏はホームズの登場シーンを見て、「科捜研の女」を思い浮かべたらしい...。
- 作者: アーサー・コナン・ドイル,深町眞理子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/11/28
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 2回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
蠕動で渉れ、汚泥の川を (角川文庫) 西村 賢太 (著)
螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫) 村上春樹 (著)
ノルウェイの森の雰囲気を感じる「蛍」(あの「突撃隊」風の、同室の青年には懐かしささえ感じてしまった)、村上作品には猫より多く出ているんじゃないかと感じる『僕だけが正体を知っているサイコパス』的登場人物が印象的な「納屋を焼く」、ファンタジックだが不気味な余韻を残す「踊る小人」が印象的。
って、ほぼ半分ですけど。
「三つのドイツ幻想」は、理由はわからないが高橋源一郎っぽいなーと感じた。小説ではなくエッセイの方である。