【読書・人文書・世界史】イブン・ジュバイルの旅行記 (講談社学術文庫) イブン・ジュバイル (著)
書記イブン・ジュバイルのメッカ巡礼記。巡礼の最中目にしたものの記述で面白かったのは、エジプトの「ピラミッド」と「老婆の城壁」に関する箇所。
ピラミッドについては、その正体を「コーランに登場する古代のアラブの部族長とその子孫の墓」と考える者がいたらしい。 これは、コーランの記述と関連づけて古代の遺跡を解釈しようという試みで興味深い。
また、現代でもなおその正体について異論があるピラミッドについて、「墓」という解釈がどこから生まれたのかも気になる。
「老婆の城壁」は、ナイルの東岸に 200km 近くも続く城壁であり、「諸道路と諸王国の書」なる書物(なんと魅惑的な名前の書物でしょう)に記された女魔術師こそが「老婆」なのではないかと著者は推測しているという。
他にもメッカの羊肉が地上で最高の食べ物であるとか、カリフのお膝元バグダードの住民は傲慢であるとか(いつの時代も都会人は偉そうなんですね)、当時の風俗に注目して読んでも面白い。