【読書・国内文学】カーブの向う・ユープケッチャ (新潮文庫) 安部公房 (著)
「砂の女」の原型となった「チチンデラ ヤパナ」や、方舟さくら丸」のプロローグ的短編「ユープケッチャ」などを含む短編集。
印象的だったのは、結婚相談で出会った男が、太古の地球を再現した閉鎖空間内で子どもを養っている…という「子供部屋」と、娘との関係性を修復するために手練の老人にそそのかされて保険金詐取に手を染める男が主人公の「手段」。
前者での細かい発見として、安部作品でいわゆるお嬢様言葉を使う登場人物を見たのは初めてかもしれない(「箱男」の看護婦なんかはもうちょっとくだけてた気がする)。