イタズラ電話

海外・国内文学、人文、自然科学などのジャンルを中心とした読書の感想を綴ります。光文社古典新訳文庫、平凡社ライブラリー、講談社文庫、ちくま学芸文庫などが多めです。時たま、古墳散策とタイピングについての記事も。

雷神山古墳(宮城県名取市)

東北地方で最大の前方後円墳である、雷神山古墳に行ってきた。

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最寄りの館腰駅からは歩いて20分ほど。小高い山が見えてきた。

このあたりは、箸墓古墳を訪れた時のことを思い出す。

 

 

kvjdyey.hateblo.jp

 

 

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やけに乗用車とすれ違うと思ったが、どうやら墳丘の上は行楽スポットになっているらしい。

折しも春の陽気に恵まれたこの日は、墳丘の周辺は親子連れで賑わっていた。古墳を散策するときは、いつもほとんど人気のない場所行く。賑わっている墳丘など初めてで、やや戸惑う。

 

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墳丘へと続く斜面で、桜の花がお出迎え。

最初に見えたのは、お隣の小塚古墳だった。こちらは円墳である。
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雷神山古墳の後円部が見えてきた。
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後円部の墳丘に登ると、雷神が浮き彫りになった石碑が置かれていた。
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それにつけても段丘の美しさよ。
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墳丘からの眺め。狂おしく咲く桜が美しい。
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周辺にはこれでもかとばかりに多くの桜の樹が植えられていた。
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桜の桃色、墳丘の黄色、下草の緑色が織り成す三色弁当をしばし楽しむ。
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この古墳は、東北地方でも最大の前方後円墳である。東日本でも最大規模の古墳のようだ。

 三段にわたる段丘の跡がはっきりと見え、嬉しくなってしまう。
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前方部の角から墳丘の全体を撮ろうとしたのだがうまく写真に収められなかった。
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最後に、看板の写真を載せておく。
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出張で訪れた仙台での貴重な古墳体験だった。仙台駅から電車で15分程度+徒歩で20分程度でたどり着けるので、周辺にお住まいの方々は、これからの行楽シーズンに足を運んでみてはいかがだろうか。

箸墓古墳(奈良県桜井市)②

前回のつづき。

Googleマップで色々な角度から眺めるのも、古墳探索の楽しみの一つだ。

 

 

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まさに巨鯨という趣の墳丘。

1700年以上経過していると推測される割には、それほど年輪を重ねた大木は多くないように見えるが、どうなのだろう。あくまで推測だが、宮内庁によって立ち入り禁止となる以前には、地域住民たちによって生活資源として墳丘の木々が伐採されていたのかもしれない。

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後円部のすぐ脇から。墳丘の周辺に沿って車道が通っている。この低い柵の向こうは、女王卑弥呼が眠るともいわれる禁足地だ。思わず目を凝らしてしまう。

 

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墳丘の裾に沿って、車道が続いていく。

 

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パノラマ写真を撮ってみた。前方部はカーブの折れ曲がるあたりから始まる。

 

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前方部正面には鳥居が立っている。

 少し古墳から離れて、周辺を散策してみる。

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古来よりこの一帯には溜池が多いらしい。ちょっとした池一つにも、かつての大王とのゆかりがあるのだろうか。

 

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この池の亀たちはどうも人間の足音に敏感に反応するようだ。池の周囲の土手に登ってこの写真を撮ったのだが、亀たちはすぐに池の中に隠れてしまった。

 

今回はここまで。

次回は、箸墓の周濠の一部である、箸中大池から対岸の箸墓を臨む。水面に映る墳丘は、どんな姿を見せてくれるだろうか。

箸墓古墳(奈良県桜井市)①

筆者「S」が古墳に興味を持つようになったきっかけは、高校時代の日本史資料集に載っていた一枚の航空写真だった。

明らかに他の前方後円墳とは異なり、いくらかひしゃげたような形状をしたその古墳。古墳=同じ寸法の鍵穴型という図式が頭にあった筆者には、その形状の「いびつさ」は、この古墳の個性として強く印象に残った。加えてその被葬者の有力候補は、あろうことか女王卑弥呼であるという記述に目を奪われた。

半ば神格化された人物が地図上のある一点に埋葬され、聖性を保っているというこの不思議さに、やられた。いわば歴史と神話の接点としての古墳は、高校生当時の自分の空想(妄想?)を刺激するには十分だった。

 

今年の春に、宿願叶って周辺を訪れる機会があったので、ここにその一部始終を記したい。

 

桜井駅に降り立つ。纒向遺跡の概要を記したパネルがお出迎え。纒向遺跡は古代の一大集落であり、邪馬台国の有力な候補だったそうだ。

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空が広い。

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住宅街を進んでいくと、前触れもなく「お山」が見えてくる。

この住宅街がなければ、周辺はほとんど何もない平地ではないだろうか。当時の人々にとって、墳丘から受けるインパクトは今以上だったのだろう。

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穏やかな春の日の昼下がり。

 

ワンダバダバ、ワンダバダバ、ワンダバダバ♪ 

思わず「MATのテーマ」が口をつくほどに、筆者のテンションはいやが応にも上昇する。

 

だいぶ近づいてきた。

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まるで太古の昔から止まることなく成長を続けてきた鯨のような、堂々たる外観。自分の矮小さと、矮小な自分が死んだあとにも残り続けるであろう対象に対して抱く、わずかな憧れ。思わずその場に立ちすくみ、直立不動のまま眺めてしまう。

 

昼は人が作り、夜は神が作った墓。

 

日本書紀に記された、箸墓に関する謎めいた一節である。

 

今回はここまで。

北大谷古墳(東京都八王子市)

雨のそぼ降る休日の昼下がり、八王子市郊外にある北大谷古墳に足を運んできた。

北大谷古墳を選んだ理由は簡単 で、googleで「多摩 古墳」と検索すると表示される古墳の中で、アクセス的に最も近かったからという安直なものである。

 

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奥に短いトンネルが見える。市内から歩いてきて、このトンネルを超えると境界を超えるような感覚がある。

 

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トンネルを超えると閑静な住宅街が広がる。駅から北に向かって浅川を渡り、10分ほど歩くと、かつて「ひよどり山」と呼ばれていた小宮公園に至る。そのまま道なりに進むと、左手に土がむき出しとなった坂道があらわれる。

 

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上の写真は坂道の途中で撮影。ちょっとした山道と呼んでも差支えないような坂で、少しだけ冒険気分が味わえる。

 

坂を登りきり、畑を横目に進んだ先に古墳はある。

 

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 古墳周辺のパノラマ写真。右中央奥が墳丘。

 

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墳丘の様子。石室はその特異な形状から、「三味線胴張り石室」、「胴張り型横穴式石室」と呼ばれていたという。かつては石室が公開されていたが、今ではもう埋め戻されているようだ。

今回の訪問では、石室の位置は確認することができなかった。散策している間に左足くるぶしが蚊の餌食となる。

 

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掲示によると北大谷古墳が築造されたのは七世紀。古墳時代の終末期だという。日本史の記憶が定かなら、その頃は近畿地方では大陸にならって、計画都市が成立した時期だったはず。その時代にも都から遠く離れたこの地では古墳が築造され、同時代に存在していたという事実が興味深い。

 

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お守りが墳丘の木の枝に掛けられていた。落し物だろうか。

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こちらは学業成就のお守り。周辺住民の方の願かけか、単なる落し物なのかはわからない。

 

雨足が強くなってきたので、急いで坂を降りて帰路につく。今回はここまで。